古都鎌倉
神奈川の名所旧跡として誇れる所に古都鎌倉がありますが、その鎌倉が今ユネスコの世界遺産に登録手続き中となっています。
登録されれば、日本で15番目、もちろん神奈川県では初の世界遺産となります。
私は個人的な思い入れもあり、時々鎌倉を散策しています。
ご承知のとおり、鎌倉幕府は政権が初めて朝廷から武士に移った大転換の時代を創りました。これは源頼朝が全国統一(1192年)する12年前に、伊豆での流罪の身から鎌倉に入ってきたことに始まります。
鎌倉は地形的には、相模湾に南面し四方を山に囲まれた天然の要害です。武士のための武士の政治を実現する場としては最適な場と言われています。
武士の心にかなった力強い文化も生まれ、代表的なものが運慶・快慶等による仏像彫刻であり禅宗等の仏教の隆盛にあらわれます。その後武家社会は徳川時代も合わせて670年間の長きにわたり続くことになりますが、その基礎がこの鎌倉で創り上げられました。
実は私の父は石渡康運という三代続いた仏師でした。
48年前に亡くなりましたが、その作品がこの鎌倉に残っています。鎌倉は禅宗が多いですが大町通りの奥まった所に日蓮宗で有名な妙本寺があります。そのわきを入った所に、常栄寺(俗称ぼたもち寺)という小さなお寺があります。その本堂の欄間の天女の絵が父の作品です。
石渡康運は彫ってよし、書いてよし、画いてよしと才能はあったようです。
私はその父から仏師の手ほどきは全く受けませんでしたが、「仏教のこころを文字に表現したのがお経なら、それを形にしたのが仏師の仕事だ」と父が後年言っていたと聞きました。
今の仕事の中にもこの精神を活かし、心の修練と人間形成に磨きをかけなければと思うところです。
鎌倉に行くと、仏の心、武士の心構えを再認識させられます。
※要害・・守りに有利な、地形が険しい場所。
